その夜、兄貴と廊下ですれ違った。 「明裕、さっきはごめんな。」 えっ? 「いや、別にいいよ。」 いつもの優しい兄貴に戻っていた。 「俺さ、この家出ていく。」 兄貴の目は本気だった。 「はぁ?!ちょっと待ってよ。」 「明裕にキレた後考えたんだ。 こんなになったのはこの家にいるからだと思うんだ。」 「………。」 俺は反論できなかった。