ねぇ、笑って

「あ―――――――、もう!!」


そもそも愛はまだ連と2人で出掛けるとは考えていなかった。


あまり男子と関わりを持ったことの無い愛にとって男子と2人で出掛けることは、それ則ちデート、それ則ち、相手は彼氏だ。


たかだか一週間のメールでデートなんて愛には考えられない。


もうちょっと男慣れしていれば、お友達感覚で男子と出掛けることができたのかも知れないが。



そもそも私には高野君が!!


って、高野君を忘れる為に高橋君達と合コンしたんだった!!



「う゛ー」


愛は頭を抱えた。


もし2人で遊ぶにしてもみんなで遊ぶにしても。



これだけ悩んでいる時点で自分がカンチガイ女のような気がして。


それでもこの文脈で連の意図が読めるほど愛は場数を踏んではいない。


ますます愛はどうすればいいかわからなくなった。


と、突然携帯のバイブが机の上でヴー、と音を立てた。



〈ごめん。


さっきのメール、ちょっと逃げてたよな。〉



愛は首を傾げる。



逃げてた、て。


何から。



〈単刀直入に言う。


今日、放課後。


暇だったらゲーセン行かない?


2人で。


そういう意味じゃなくていいから。


遊ぶだけ。〉



愛は固まった。


"そういう"て。どういう。


わかるような。


わからないような。


今はまだ、わかりたくないような。