ふうぅ


愛は溜め息をついた。


ガッカリしたような、ホッとしたような。


「誰もいない...」


当たり前...か。


3ヶ月も前だもんね。


愛は1人ベンチに座り、紅葉に背を向かせてお弁当を食べた。ベンチに背もたれがなくて良かった。背もたれがあったら紅葉を見ながらご飯を食べなきゃいけなかった。


美しい色彩を放つそれを、何故か真っ直ぐ見れなかった。


私は何を期待していたんだろう。


3ヶ月も前のことだ。


瞬にとって私はきっと自分に好意を寄せる幾多の女性の1人に過ぎなくて。


とっくの昔に忘れられているだろう。


それぐらいわかっているつもりだったのに。


「...ッ」


景色が歪んだ。