うーむ、と愛は唸った。


今は4時限目、古典の授業中だ。


愛が唸っているのは古典の授業が難しいから、という訳ではなかった。


やっぱり変だった気がする。朝の真実。


何がどう変なのかと問われれば何と答えていいかわからないが、『何か』が変だと真実との長い友人経験が小さな疼きを覚えたのだ。


真実に何かあったの、と問うても別に何も、と返され、その言葉を本当のものにしようとするのがオチ。それがわかってるため、真実に訊くわけにはいかない。


武井君とケンカでもしたのかな。


でもそういう雰囲気じゃなかったような...


でも。


真実の様子が変だったのは武井君が何かを呟いた時。


やっぱり武井と何かがあったのかな。


武井君が真実を傷つけるようなこと言ったのかも。


そう思ったら、急に腹が立った。


許せない。真実を傷つけるなんて!!