ねぇ、笑って

翌日の朝、愛が学校の下駄箱に靴を仕舞っていると、肩が軽く叩かれた。


「はよっ」


愛が振り返るとその先にいたのは真実。


「はよ―」


眠気の残る声で返事をして2人一緒に教室へ向かう。


2人の教室は4階だ。


「あーもう、教室遠い!!」


その日受ける授業の教科の関係で鞄が重い金曜日の恒例の台詞を真実が不機嫌そうに愚痴った丁度その時。



「真実!!」


真実に後ろから抱きついてきた男の子。


「重いっつの!!シュウ!!」


「あ、おはよう。武井君」


「おはよう、宮ちゃん」


真実の罵倒を軽やかにスルーして愛に朝の挨拶をする彼の名は、『武井 修斗〈タケイ シュウト〉』。


バスケ部期待の新人にして真実の彼氏。


特技は人の渾名をつけること。


愛の渾名は苗字からとって『宮ちゃん』である。