ねぇ、笑って

瞬が口を開く。


心臓は苦しいくらい高鳴っていた。


瞬が何かを言う瞬間。


ガラリ、と教室の戸が開いて担任が入ってきた。


瞬は口を閉じて、席に着いた。


ふぅぅ、


先程よりよほど深いため息が口から漏れ、愛はぐったりと机に突っ伏した。


先生の話なんて、頭に入って来なかった。


どうして私を見ていたの


今更何を言おうとしたの


その日は1日中そればっかりが頭の中をぐるぐると回って、上の空だった。


しかし結局その後、瞬が愛を視界に入れることはなかった。