『高野瞬は女嫌い』

瞬を知る人ならみんな知ってる一般的認識を否定されて、どうやら驚いているらしい真実が口を開こうとしたのを遮って、

「でも大丈夫。高野君にとって私がいいポジションじゃないのと同じで、私も高野君なんて好きじゃないし」

もう、苦手になったから。

苦手になった、はずだから。


不服そうに愛を見つめる真実は、愛にはまだ隠し事があると気づいてるようだった。


「ごめんね、もうちょっと落ち着いたらいろいろ話すね」


愛の脳裏に、2つの面影が過ぎった。

愛を見つめる子供みたいな瞬の笑顔と、愛を見もせずに横を通り過ぎた瞬の冷たい横顔と。


ギュッと目を瞑った愛に、真実はもう何も言わなかった。