「嫌われちゃったの」

そう言った自分の声があまりにも悲しみに溢れていることに、愛は驚いた。


「嫌われた...?」

真実が怪訝そうに聞き返す。


「うん」

真実は今度は何も言わなかった。

戸惑った表情は、理由を聞いてもいいかどうか判断しかねているから。


「私が、高野君の一番嫌いな人種になっちゃったから」


「嫌いな人種?何それ。...高野の嫌いな人種ねぇ...『女』とか?」

唸りながら言った真実に、愛は緩く首を振った。


「違うよ。高野君は女の人が嫌いなんじゃないよ」

『自分に好意を寄せる女の人』が嫌いなんだよ。


後半はやっぱり声にならなかった。