Genius~守り人~

2人は隼人が発動させた移動式の“視覚壁”で気配や足音を隠しながら來の後をつけていた。

彼女は駅の方へ向かうと、東の街に続く線路に沿って歩いて行く。

そして新しい線路と古い線路の分岐点まで行くと、迷うことなく古い線路へと歩みを進めて行く。

その線路は今日で廃線になる予定のもので、後1便を残すだけとなっていた。

しばらく歩くと古いトンネルが姿を現した。

「あいつこんな所に何の用があるんだ?」

トンネルへ入って行く來を見て隼人が呟く。

弥那は隼人の言葉に答える事なく、前を歩く來の様子をじっと見ている。

“解”

隼人が術を解くと、もう日が傾き始めていることに気付いた。

「どうする?」

その空を見上げて弥那に問いかける。

「どうするって、行くに決まってるでしょ。」

当然!という顔をして、弥那は隼人の手を引いて歩き出す。