「隼人ーーー!待ってーーーー!!!!」

後ろから声がして、その方を振り返ると1人の少女が駆けてくる。

「置いてくなんてひどいよ。」

息を切らしながらその少女は少しだけ背の高い隼人を見上げる。

「弥那が遅いからだろ。」

「仕方ないじゃん。

今日はスニーカーじゃないんだから。」

弥那はむくれながら、足元を指す。

彼女は二つに結われた緩かなウェーブのかかった髪を、気になるのか時々いじりながら隼人に反論する。

「あれっ?氷ちゃんいたんだ。」

「さっきからいたけど……」

ようやく氷の存在に気付いた弥那に彼は呟く様に応える。