「なんだ…?」
不思議そうに籠を覗き込む氷。
中には、異なる形と色をした2つの羽根と1枚の呪符。
「この羽根は朱雀の羽根を使って造ったんだ。
こっちの白い方は風の力を利用した"浮遊の羽根"。
で、こっちの朱色の方は治癒の力を利用した"癒しの羽根"。
まだどちらも試作品の段階だから、かなり霊力使ってしまうけどね。」
ふぅ、と小さく溜め息をして笑って見せる。
「これは…?」
來奈が少し厚めで長方形の紙を示す。
「それは"防の符"なんだ。」
「この紙切れが?」
籠を覗きこんだ氷が言う。
「紙切れって言うな!呪符だ!!」
「紙切れみたいなもんじゃないか。」
籠から呪符を取り出して自分の掌にのせてみる。
「…(怒)」
顔に怒りマークを張り付け、氷の掌にある呪符を取りあげ、それを裏返して彼の鼻さきに突きつける。
「裏くらい見ろよ。」
顔はにこやかだが、彼の声はやはり怒りをはらんでいる。
「……」
護がコレ程怒るとは思っていなかった氷は、おずおずと突きつけられた呪符を受け取る。


