翌朝來奈は陰に向かった。


來となって。







「來、只今陽より戻りました。」

御前の前で片膝をつき頭を下げる。

「…やはり生きていたのか。」

御前の声が部屋に響く。

「今までどうしていたのだ。」

御前の椅子の横に立つ列火が尋ねる。

「…不覚にも内裏に囚われていました。」

「…我らの事を話してなどいないだろうな。」

「もちろんです。」

「ならばよい。では…」

「しかし」

來は御前の言葉を切って続けた。

「申し訳ありません。ヤツらに目をつけられてしまった様です。」

「それで?」

重く冷たい声

「1ヶ月間の監視、その後も定期的に内裏へとの事です。
今日は監視を捲いて参りました。」

「そうか…。ではこの地を特定されぬ様行動には充分気を配れ。
用がある時は前の通り無線にて。」

御前はそう言うと下がれと合図した。

來はもう一度頭を下げ、部屋から出た。