「お疲れさま。」

扉が開くと笑顔で草火が出迎える。

「流石は來ね。優勝候補相手に最短記録出すなんて。」

「すごいな。」

「……」

二人を素通りしていく來

― さっきの力は一体……?




勝手に動いた身体




勝手に口から出た言葉



今までの嫌な漆黒の力とは違う






『何者だ?』


あの男の言葉がまだ頭の中に残っていた。






自分は一体…






「ったく無視かよ。珍しく褒めてやったというのに。」

「……」

「まぁまぁ、來だって疲れてるのよ。いきなりあんな大技使ったのだから。
…さあ、休憩所にでも行きましょう。
もう次の人が来るはずよ。」

來の肩に手を置き微笑みかける。