Genius~守り人~

ドォン ドォン


フィールドの方から大きな音がする。

試合終了の合図。

歓声があがる。


「まずは一勝したぞ。」

扉を開けて清洋が入って来る。

「あら、お疲れさま。意外と早かったわね。」

草火は微笑みかける。

「当然です。相手は11歳ですよ。」

「…お前はどこまで私をバカにすれば気が済むんだ。」

「バカにしてません。貶しているのです。」

「お前な…」

わなわなと肩を震わせる清洋とそれを受け流しそっぽを向く來。


「クスクス。
あなた達ってホントに面白いわ。」


「笑うほどの事ではありませんよ。」

來は笑う草火を見上げる。

「ふんっ。」

清洋は不機嫌そうに部屋を出ていった。

「あらあら、怒りやすい人ね。」


清洋が出ていった扉を見ながら草火は呟く。


「エントリーNO.4さん、対戦の用意をして下さい。」


放送が流れる。


「私の番ね。」


草火はゆっくりと立ち上がり、「行ってくるわ」と言って部屋を出ていった。