競技場に近付くにつれて人が増えていく。
「人多いわねぇ。」
辺りを見回し草火は呟く。
「ここで別れましょう。
草火、清洋、來は出場者ゲートへ。
私たちは観客席へ。
例の合図は無線機にて。
では。」
それぞれ別れて歩いていく。
「…清洋、待て。」
列火は草火や來とは別に歩いていく清洋を追いかける。
「なんだ?」
“―”
振り向きざまに列火は何か呟く。
一瞬清洋の動きが止まり、紺色だった瞳がダークグレーに光り元に戻った。
「なんだよ?」
「…いや何でもない。
へまするな。」
「何だよそれ。バカにしやがって。そんな事分かってるさ。」
清洋は不機嫌そうに向きを変えて歩いていった。
列火も踵を返し歩いていく。
競技場の裏
一般ゲートの逆方向のゲートには殆ど人はいない。


