「この服…」

「私の妹の服よ。元は私のだけどこの服を着られる位になったらあげるって約束してたの。結局渡せなかったけどね。
でも、あなたにあげるわ。」


「…妹…?」


「えぇ、正しく言えば親友の義妹なんだけど…。
良く三人で一緒にいて本当の妹に思えたわ。
…今は…」


折り畳まれた服の襟を悲しそうな瞳でなぞる。


「いいのですか?私が貰っても。」

草火を見上げる。

「いいのよ。あなたに使ってもらいたいの。來、あの子によく似ているからこの服似合いそうだから。
それにその黒い服で行けばすぐ哀哭溜って分かっちゃうでしょ?
前にここの服しか持ってないってきいてたから。」

「…ありがとうございます。
では着替えてみます。」

「私もそろそろ部屋に戻るわ。黒い服のままだから着替えなきゃ。」

草火はそう言ってくるりと向きを変える。


「ではまた後ほど。」


手をヒラヒラさせ草火は部屋を出て行った。