「大丈夫?」
ふらつきながら歩く沙柚を支える。
「…なんで…あんな、に…」
何時ものように、あしらわれた訳では無く拒絶された。
あんなに冷たい瞳で、身を貫き身動きすら出来なくなるのは、初めてだ。
「ごめんなさい。私にも分からないの。でも、余程触れて欲しくない事みたいね…」
廊下には二人の足音と会話だけが響いていた。
「…さっきの來…怖かった…」
「そうね…あんな來、初めて見たわ。」
「…許してくれるかな…」
「大丈夫よ。きっと。さぁ、ついたわよ。今日はゆっくりしていなさい。」
「うん…そうする。」
沙柚は自分の部屋の扉を開き、一度草火を見上げた後、暗い部屋の中に姿を消した。
草火はそれを見届けた後、来た道を帰り始めた。


