Genius~守り人~

「できれば私は行きたくない。」

「そう?でも襲撃の時の來って凄く楽しそうに見えたけど?」

書類を捲る來の手が止まる。


嫌な記憶が戻ってくる。

「沙柚ちゃ…」

「襲撃前までは嫌がってるけど、始まると同時に目が変わるんだよね。
今より深くて冷たい黒い瞳。
んで素早い動きで沢山の人殺していくの。
一度しか見てないけど凄かったなぁ~
もう一度見てみたいよ。」

うっとりと話す沙柚。

― イヤ…だ

クシャッ


來の手に握られた紙に皺が作られる。


「…」

「私もあんな風になれたらな…」

「…」

「沙柚ちゃん!」

草火は止めようとしたが沙柚の口は止まらない。

「どうやったらあんなに出来るの?」

視線を天井から來へと移動させる。


純粋な知りたいという瞳

10歳でセブンスにまで上り詰めた來の持つ力

どの様にして手に入れたのか

そう思う者も少なくない


しかし本人にとって……


「…沙柚、帰って…」

「來?」

「帰って」

草火は來の顔を覗き込む。

「帰って…」