バンッ
「!!!?」
「來ー!!草(ソウ)姉~♪」
來と草火が書類を広げあれこれと話し合っていると、一人の少女が勢いよく扉を開けて入ってきた。
その勢いのお陰で目を通した書類の束がキレイに飛ばされ床に散らばる。
「あら沙柚(サユ)ちゃん、いらっしゃい。
よく分かったわね。私がここにいるってこと。」
「えへへ♪勘かな。」
沙柚は二つに結った焦げ茶色の髪を揺らし、草火の首に纏わりつく。
「あら凄い勘ね。」
草火は嫌がること無く沙柚に微笑みかけ彼女の頭を撫でる。
その様子は慣れているようだ。
沙柚は嬉しそうに更に草火に擦りよる。
一応14歳の沙柚。
草火にこうして撫でてもらうことが好きらしい。
「…沙柚…」
和やかに沙柚と会話する草火とは対照的に、來は床に散らばった書類を黙々と集めていく。
「あれっ?分かっちゃった?
実はさっき草姉の部屋に行ったんだ。でも居なかったからここかなって。
流石來。」
沙柚は草火に抱きついたまま來に目を向ける。


