そのかわいい人を眺めていると、担任がまた大声を出して語り始めた。
「それじゃぁ、さっそく廊下側から自己紹介をしてもらおうか」
「「えぇ~」」
でたでた、新学期や入学に付きまとう自己紹介。
生徒達もこれには盛大にブーイングする。
私もどちらかと言ったら、そういうのは嫌いだが、いちいちブーイングするのも嫌いだ。
だから黙って溜息だけをついた。
「名前と趣味とか好きな物・・・あと通っていた中学校の名前くらい語るように」
「「めんどくさっ」」
みんな口々にめんどくさいと呟く中、黙っているのは私とさっきの可愛い人だけだった。
彼の舌うちがここまで聞こえてくる。
「うるさいぞ。それじゃぁさっそく行くからな、雨宮からだ。どうぞ」
「えぇ~あたしから?」
教師が最初の女子にふると、その子はめんどくさそうにしながらも立ち上がって自己紹介を始める。
可愛らしいその子からスタートして、順調に自己紹介が進んでいく。
中には軽くボケる奴や、噛んでしまって笑われる子もいた。
個性あふれる自己紹介は何気みんな楽しいようで、にこにこと自己紹介する子がほとんどだった。


