「よし、じゃぁ次は直が自己紹介しろよ」
と真さんが藤枝の赤髪をわしゃわしゃと撫でながら、言った。
強引に頭を振りまわされるように撫でられている藤枝が、真さんの大きい手の下で
「え?次、直くんなの?俺がいいー」
と駄々をこねているが、黒髪のつり目はそれを無視してにやつきながら話し始めた。
「俺は 神埼 直。真と同じ2年生だよ。サンキスではベースやってるけど、楽器は基本なんでもいけるな。趣味は女あそb……じゃなくてう~んと……作曲かな?」
趣味の紹介であきらかに、女遊びと言おうとして誤魔化したのは、完全に私にバレているが、とりあえずここでは知らないふりをしておこう。
「好きな食べ物は苦いものかな。俺の呼び方は、俺の方が1つ上だけど別に呼び捨てで直でもいいし、直さんでもいいし、直先輩でもいいし、直様とか男前とか色男とかでもいいよ?」
「…最後の3つは絶対ありえないので、直先輩と呼ばせていただきます」
と無理やり作り笑いを浮かべながら言うと、直先輩は「つまんないの」と言いながらにやりとした。
さっきから、直先輩の「俺、プレイボーイです。テヘ」みたいな態度がさらにいけすかない。
でもなんとなく、瞳の奥に何か秘めているような目をしているのは、私の気のせいだろうか?
「さっそくだけどるかちゃん。俺と今週の土曜日どっかいかない?」
「断固お断りします。先輩」
うん、やっぱ気のせいだ。こんなやつがなんか秘めてたりするわけがない。
「うぇー?俺が誘ってるのに?」
「あなたが誘ってるからですよ。先輩」
「釣れないなぁ」
直先輩はにやにやしながら、べっと舌を出す。その仕草は、やりなれているのかかなり、様になっていたが、あたしにはトカゲがぺろっと舌を出すのと同じように見えた。


