voice=kiss





「サンキスの曲は好きだけど…あんたらは好きじゃありません」


好きじゃないって表現はおかしいか…



「好きじゃないって言うか…むっちゃイライラしました」




無表情で言う。

好きじゃなくはない、藤枝が可愛いのは認めるし。


でも、どうしてもこいつらの顔を見て「キャーカッコイイ」なんて言えないと思った。


もともと、人の顔の好みとかあんまないけど。




「藤枝」


「っ!!はい!!」


藤枝を呼ぶと、藤枝を怯えているのかビクッとした後に返事をする。





「教室、戻ろう?」




今からじゃ遅いが、戻らないよりはましだ。

この中では唯一可愛いと思える藤枝をおきざりにはできない。





「えっ?…でも…」


「戻りたくないなら、別にいい。私だけ戻るから」





答えに迷う藤枝を無理やり連れて行くのはどうかと思って、藤枝に背を向けてドアのほうへと歩き出す。