「なっなぁ?」
「ん?」
私のヘッドフォンに手をかけながら、元気に口を動かす藤枝。
「好きバンドって何?どこのバンド?」
ヘッドフォンとろうとする手を優しく振り払って答える
「サウンドキス」
その六文字を口にした途端に、藤枝の表情が今日で一番輝いた。
それにはパァという効果音がよく似合っていて
童顔の顔がニコニコと輝く。
「本当に?本当にそのバンドが好きなのか??」
ぎゅっと肩を掴まれて、ぐらぐらと揺すられながら聞かれる。
「…そうだけど。なんだよ」
「本当にサンキスが好きなんだな?」
「そうだよ…なんでそんな嬉しそうなの?」


