そして、その順番はあのかわいい人に回ってきた。
不機嫌そうにして、赤い髪をいじりながらゆっくりと立ち上がる。
みんなその笑顔じゃない顔を見て、一瞬静まり返った。
確かに、その表情は甘い童顔にはまったく似合わない。
そして、かなり感じ悪い。
「藤枝 まお・・・G中から来ました。バンドやってる・・・よろしく」
そっけないあいさつの後に機嫌悪そうに椅子に座る姿に、
教室の中で何人かが「感じ悪」と呟いた。
それに気づいているのかいないのか、藤枝まおと名乗ったかわいい人は、また大きな舌打ちをした。
気まずい雰囲気がクラスを包んだが、私の前の人がボケてくれたおかげで、その空気は撤回された。


