そこにいたのは坂妻だった




壁に追い込まれている海の前にするりとたった






「……っ」







その瞬間、俺はそこで立ち止まる




何もできない俺







なよなよしてる男って思ってたけど




海の前に立っていた坂妻はちゃんと男だった






「んだよ…」





「先輩こそなんですか?俺の彼女にさわらないでください」





“俺の彼女”俺が言いたかったけど





実際まもっているのは坂妻で




自分の情けなさが悔しい