☆オカマに恋した☆

「愛はとっても、いい子よ。



私が可奈と仲良くなった頃から知ってるから、もう十年近く経つわね。




愛のお家は母子家庭で、お母さんが忙しくて、なかなか面倒見られなかったから、可奈が良く預かってあげてたのよ。




だから、愛が幼稚園の頃から知ってるわ」



 複雑な事情がある家庭に、育ったのかもしれない。




「ここで、愛が暮らしてるのって、可奈さんに弟子入りしたからなんですよね?」



 本人にも聞いていた質問だけど、聞いてみたくなった。



「初めはずっと、母親代わりとして面倒見てくれてた可奈に、恩返しするんだって、お店手伝うようになってた。



でもいつしか、美容が好きになったみたい。




一生懸命、技術練習してるんだけど、本当に下手でね。



可哀想になっちゃうくらいに。



あの子は、人の何倍も努力しなくちゃだわ。




でもこの世界、ああいう不器用で努力した人こそが案外残っていくのよ」



 微笑みながら、京ちゃんは言った。