私は愛の切れた唇に、そっとハンカチをあてた。 「いったぁー 本当あいつのパンチきくなぁー」 そう言って、苦笑いを浮かべた。 その時初めて、私は愛の心の奥底に触れたような気がした。 何だかその表情は、いつもの愛らしくない、男らしい表情だった。 「何か今日、男らしいね」 私は愛とケンカしていたことを、忘れたかのように言った。 「うん、強くならなきゃ、って思った。 男だからね」 愛も私とケンカしたことを、忘れているようだった。 「ありがとう、助けてくれて」 照れくさいながらも、言った。