「ごめんなさい…



他に好きな人が出来て…」



 私は真っ直ぐに、先輩の目を見つめて言った。



「えっ?」



 想定外の展開に、先輩はすごい驚いた様子だった。





 しばらく重たい沈黙が続いた。




「そっか…



オレ話するの苦手だからさ…



あんま電話もメールも出来なかったし…




…でもさ…オレ本当に…



本当に遥かのこと大好きだよ。



その気持ちだけは…




誰にも負けない、自信があるよ」



 声を絞り出すかのように、先輩は言った。





最後の最後になって…。




「初めてですね。



私ずっと、先輩に言ってほしかったんです。




好きだって……」




「うそ?



そんなのいくらだって、言おうと思えば言えたのに…




オレ言ってなかったんだ……



付き合ってれば、そんなの言わなくても伝わると思ってた。



もっともっと、伝えとくんだった」



 暗い表情をした先輩は、今までそんなことには、気づいていなかったみたいだった。