放課後私は、こんな日に限って、トイレの掃除当番だった。 掃除を終えて、教室へと向かった。 途中で帰り支度をした、愛とカトゥの姿が目に入った。 愛は一瞬私の方を見たけど、すぐに目を反らした。 「バイバイ」 私はつぶやくように、すれ違い様に言った。 重たい空気に押し流されて、言葉が宙をさまよい消えてしまいそうだった。 「バイバイ」 カトゥがそっと、つぶやいた。 愛は固く唇を結んだまま、去っていった。 その冷たい背中を、私は振り返り見つめていた…。 愛の姿が、昇降口に消えるまでずっと。