しばらくして愛は、目を覚まし私が近くにいるのに気がつくと、体を起こし急いで涙をぬぐった。 「あっ、雨降りそうだね…」 愛は空を、何かを想っているような、切なそうな表情で見つめている。 こんな表情をする愛を、初めて見た。 「ねぇ…真奈美って…誰?」 私は真っ直ぐに、愛の正面に座って言った。 「誰でもないよ」 愛はすぐに、目を反らして言った。