「沙羅!!お前っ…!!!」

俺は沙羅に体当たりをしようと地面を蹴る。
体は沙羅の体に当たるどころか横を通り、地面へと落ちる。

「私は薫を連れて行くから」

スペードはひとつ頷くと俺たちの前から消えた。

「沙羅…なんで…」

俺は地面に爪を立て引っかき、集まった土を握り締めることしか出来なかった。

「ごめんなさい、でも最初はあなたと一緒で零に従い任務熱心な騎士だったのよ。」

「それがどうして…なんで敵の味方になんか!!!」

「敵の味方になんか最初からついてないわ。私の敵は零だもの。」

沙羅はいつもの笑顔で俺に語りかけてくる。

俺は悔しくて涙が溢れた。

一滴、二滴と地面に涙の粒が落ちていく。

「そして、あなたは私たち側の人間。ね。だからついてきて」

「俺は…零のことを、敵だと思ったことない…!」

「それでもこちら側なの」

どうして?なんで俺が?どうして沙羅が?

裏切られたことが悔しい…
沙羅が裏切ることなんて考えたこともなかった…
なんで、なんで?なんでだよ!


「裏切り者はお前だったか」

バンッ___


それは時が止まったかのようにゆっくりと沙羅が横に倒れた。

沙羅の胸からは赤い液体がとめどなく流れ出る。

「沙羅、情報を流してたのはお前だったんだな。失望したな」

影の中から現れたのは霜崎零だった。

「ク、ラブが…やられ、る、なんて…」

「あー、あれは俺の操り人形だからな。今はまだ戦ってるんじゃないか?」

「な…くっ、ゲホッ」

沙羅の口からは唾液と混じった血が飛び散り地面を赤く染めていく。

「さ、沙羅!」

「薫、近づくな。沙羅は裏切り者だ。」

「…き、さまぁ…」

沙羅の声は掠れ、最後の言葉はほぼ口が動くだけだった。

「裏切り者に制裁を」

零は沙羅の後頭部に銃口を突きつけ、引き金を引いた。