カチャン__

「もう追いつきやがったか。」

目をゆっくりと開けるとクラブの銃は地面に転がっていて、零が森の奥から現れた。

「お前、誰だ」

「貴様に名乗るのはまだ早い」

クラブは武器をなくしたというのに余裕そうにたっている。

「早い?どういうことだ?」

「時はまだ満ちてないからね。…俺はかけらを回収しなきゃ戻れないし、逃げようにも君に追いかけられてしまったら逃げれないし。おいでよ、零」

相手はおいでおいでと手を振る。

零も銃器をしまい、剣を鞘から引き抜く。

「薫、まだ走れるか?」

「少しなら」

「じゃぁ逃げろ。絶対にそのかけらを離すなよ。すぐに俺が追いかける。」

「わ、わかった…」

俺は足をかばいながらも再び走る。

普通なら銃弾1発でこんなに貧血のような状態になるはずないのに…!

かけらの邪気が俺を蝕んでいるのか?
そういやさっきも清は背中に銃弾を1発食らってただけだった。

「このかけら…」

後ろからはカキンカキンと鉄をはじく音が響く。

「零、死ぬなよ!」

かけらを握り締め、俺は森のもっと深くへと進む。



木の枝を小刀で切り裂いてひたすら走る。
生き物の呼吸音も聞こえない暗闇。

頭のなかで水希の泣き顔が映る。
清の苦しむ姿が映る。
零が劣勢の姿が映る。

そんなはずはないのに、頭の中では悪い映像が流れていく。

「薫ぃ!!!!」

後ろから俺を呼ぶ声が聞こえ、俺は止まる。

息を切れながら沙羅が現れた。

「沙羅!!」

「いたわ!無線を聞いてかけつけたの!」

「沙羅、道化が現れたんだ!」

「えぇ、早くかけらを道化から遠ざけるわよ!薫、あなたは邪気にやられすぎてる。私が持つわ!」

「…沙羅?」

「どうしたの、早く!道化が追いつくわ!」

俺はかけらを握りしめる手を強めた。

「零か清に来るとき会った?」

「会ってないわ!それがどうかしたの?」

「…そっか。」

俺は気づいたら剣を手に取っていた。