木々の間から現れたのは、妖魔だった。

低い唸り声をだしながらこちらに向かってくる。


「ちっ…妖魔!」

剣に手をかけて引き抜く。


それと同時に男は岩から降りた。


「何ヲシテイル?」


「別に何しててもいいだろー?」


妖魔は少年へ問い掛け、


少年はそれに答えた。


薫はただ呆然と1人と1匹のやり取りを見ているだけだった。

体は硬直し、剣をもつ手は微かに震えてしまう。


「きゃはは!僕をみてびびってるのに、よく騎士をやってられるねー、お姉ちゃん!」

少年は立ち止まり振り返った。



「僕、帰るから」



少年は妖魔の背に乗ると再び薫を見た。
それまで一言も言葉を出せなかった。


「無知ナ騎士、直グニ國ヘ帰レ。再ビ会ウ事ハ無カロウ。」


少年ではなく、妖魔がそう言うと少年を背に乗せ、森の奥へと消えて行った。


何だったんだ…一体

騎士ってどうしてわかった…


薫はしばらくその場に立ち尽くした。