「お嬢ちゃん、こっちで食べなよ」

「私もいいんですか?」

「いいっていいって。薫ちゃんとも話したいからね」

俺はお言葉に甘えて沙羅の隣の席に座った。
皆は食事を終えたらしく空になった皿が皆の前に置かれていた。

「いただきます」

フォークを持ってスパゲッティを口に運んだ。
トマトの味が口に広がってやっと空腹感が薄らいできた。

「薫ちゃんはどうして騎士になろうと思ったの?」

突然4人の会話の中から外れてキトスさんが俺に話しかけてきた。
けれど一瞬だったがなんだかキトスさんの目は俺を調べるような目つきをしていた。

「家族と唯一の友人の敵討ちってとこですね」

「悪いこと聞いちゃったね…」

眉毛を下げて申し訳なさそうに答えるキトスさん。
俺は出来るだけ笑顔で答えようと笑った。

「いえ。もう昔の話ですから気になさらないでください!」

キトスさんはまだ罪悪感があるのか若干しゅんとなりながらもそれ以上はあまり深くは触れなかった。

「薫ちゃんは強い子なんだね。」

「そんなことないですよ」

俺は最後の一口であるスパゲッティーを口に入れた。

「俺はまだまだ精神も肉体も弱いですよ。」

「大丈夫さ、君はまだ若い。成長途中ってところだよ。騎士はいくらでも成長できるよ。引退したあともね」

「そういや…元司令官ということはさらに高い地位へと?」

「いや。俺たちは引退したのさ。1年前ぐらいにやめたんだ。多分薫ちゃんとは入れ違いになっちゃったのかな?」

「引退?今は何をしているんですか?」

「今は何もしてない。騎士をやっていたときの給料があるし、2人でいろんな街を旅してるんだよ。」

「旅ですか…なんかいいな…」

「薫ちゃんもこの世界が平和になったらやってみるといいよ!きっと楽しいから」

そういってにっこりと笑うキトスさんはなんだか寂しそうだった。

「おい、キトス!お嬢ちゃん狙いか、てめぇ」

そこでスタンさんがキトスさんの頭をがしっと捕まえて反対の手で煙草を灰皿に擦り付けた。