「ねぇ、水希。最近騎士の仕事は忙しいのですか?」

目の前の人は綺麗な金色の髪が腰まで伸びて茶色の瞳が見える目はぱっちりとして僕の顔が目に映る。
だが、その人は肩肘をついて僕の顔を見てため息をつく。
これが一國のお姫様だとは誰も思わないだろうなっと僕は心の中でつぶやいた。

「そうですね、ロキが逃げ出したからいろいろと忙しいです」

姫様はまたひとつため息をついて背もたれに寄りかかった。

「そうね。でもここまで日が経ってしまったら…お母様も國民にロキのこと告げたそうです。」

先日王妃様は國民の前でとうとうロキのことを発表した。
最初は國民も戸惑いを隠せなかったようだが、しばらくしたら國民も落ち着きを取り戻し、兵士に応援の声を上げていた。

「僕たち騎士が早く捕まえれてたらよかったんですけど…」

「そんなことないわ。ロキは3年前も零が傷だらけになりながらもやっと封印したの。なのに零をロキの捜索の最前線に出さなかったのだからこうなることは予想済みよ。お母様は出来てなかったみたいだけれど。」

姫様はため息を一つついて紅茶を飲んだ。

「…水希はいなくならないわよね?」

「僕はちゃんといますよ」

姫様はいきなりおかしなことを言い出す。
僕は疑問符を上げながらも答えた。

「そうね。あなたは違いますもの。」

「何が違うのですか?」

「凛」

「兄様のこと?」

こくりと頷く。

「貴方を見ていると、凛が幼き姿になって私の元に戻って来てくれたようで…懐かしくて。それと同時に彼と同じで私達のそばからいなくなってしまいそうで怖かったの。」

「僕はいなくならないです」

「…ありがとう」

姫様はにこりと微笑み、紅茶を一口飲み込む。

兄はこんなに思ってくれる人がいるのにどうして裏切ったのだろう?

もし、兄様が生きていたらもっと姫様は笑顔だっただろうなぁ。

「今日は来てくれてありがとうございます」

突然姫様は礼を言ったので僕は少し反応に遅れた。

「あ、いえ!休みのときならいつでも来ますよ♪」

「妹も会いたいと言っていましたわ。今度はまた3人でお話をいたしましょう」

「はい!楽しみにしてます!!」

姫様は満面ともいえる笑顔で笑ってくれた。

「もう帰って休んだらどうかしら?休みなのにごめんなさい。」

「大丈夫です。でもそろそろ本部に戻らせていただきます。」

「わかりました。水希の見送り頼みますわ。」

僕は椅子から立ち上がると姫様の傍使いがドアを開けてくれた。

「ありがとうございます!」

「いえ、姫様の我が儘にお付き合いいただきありがとうございました。お気をつけてお帰りください。」

傍使いが僕にお辞儀をして僕もお辞儀をしてから部屋を出た。

城のなかは兵士が定期的に見回りをしていて僕は会う兵士に軽く会釈しながら歩いた。

城の門を出るとすっかりと外は暗くなっていた。

「よし、早く帰ろう!」