「_____、助けて…痛い、やめて…やめて…」
「まだ意識があるのか。やっぱりシンの神子は化け物だな。普通はとっくに死んでいるのにな」
周りの人間が俺を貶すように笑う。
化け物。
その単語ばかりが頭にずっと響いて行く。
俺は化け物なんかじゃない…
___助けて。助けて…
苦しい、痛い、帰りたいっ…
「今日からちょっと投与の量を増やすぞ。___の方も増やしとけ。あいつは左手の次は片目を。エ____は、両足だ。さぁ、耐えてくれよ、神子様」
足が…見にくい色してる…
青紫…赤に似た色…気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!
やだっ…足が…足が!!!
「うわああああああ!!!!」
「麻酔!眠り薬!早くしろ!!」
いろんな手で俺の体や顔を抑え付けられる。
やめてやめてやめてやめて
俺は人間だ!!!!!!!
_____________________
「うわああああっ…はっ…はぁっ…ははぁ…」
なんだなんだなんだ?
寝間着を触るとじとっと湿っている。
寝汗でびしょびしょ…
外はまだ明るく夜にもなっていない。
「一体…」
体が、ブルブルと震えだし落ち着きが戻らない。
「う、…あぁ…」
どうしようどうしよう。
体が動かない。
「おい、薫。さっき叫び声聞こえたんだけど…大丈夫か?」
た、助けて
「…た、…っすけて!!!」
ガチャと恐る恐る扉を開ける音が聞こえた後、バタンッと扉が勢いよく閉まる音がした。
「…おいっ?!」
ガタガタ震える肩に両手が乗せられる。
顔を上げると、焦った顔の清がいた。
「どうした?」
「き、きよ…清!体が…体の震えが…」
「何があったんだ?」
「夢っ…夢を」
「いつもの夢か?」
「違う…鮮明だった…!」
清は優しく俺の頭を包むように抱きしめた。
「あ…」
「…」
清は黙ったまま私を抱きしめ続ける。
そのうち体の力が抜けて行き、清の背中に手を回して自分の体と清の体を隙間がないぐらいにくっつけた。
手を後ろに回したとき、清はぴくっと体が飛び跳ねたが、それでも俺を離さなかった。
「…薫」
清が俺の名前を呼ぶ。
息が耳元にかかってくすぐったい。
「…清、息がかかってくすぐったい」
「あ、…わりぃ」
しばらく清を離すまいとしがみつくように抱きついていたが、だんだん体の震えが止まり出し力が抜けていった。
「有難う」
ぽつりと呟いて体を起こそうとすると今度は清にきつく抱きしめられる。
「どんな夢だったんだ?」
「…化け物に変えられる夢」
「化け物?」
「いつもの白い部屋にいて、自分の足が変な色してるんだ…そして無理やり抑え付けられて…」
「いつもと全然違うな」
「うん。だからびっくりしちゃって…清、もう大丈夫だよ。」
清はゆっくり俺から離れていくが、目を合わせてくれなかった。
「清?」
「悪い、流れに任して…その…抱きしめて」
「いや、有難う。やっぱり清に抱きしめられると落ち着く。俺がリオの時でパニックになったときも…いつも清のおかげで落ち着ける」
そう答えると、清はそっと腕を顔に近づけた。
「そっか…」
「うっし!元気になれた!シャワー浴びてくる」
清は優しく微笑むと、俺から離れて部屋を出て行く。
「ごちそうさま。」
部屋の外から零の声が聞こえた。
何がごちそうさまなのだろうか?と気になり部屋の外を覗くと、顔を真っ赤にさせた清とにやにやとした零が立っていた。
清は俺と目が合うと、早歩きと表現してもいいほどのスピードで俺の部屋の前から去って行く。
逆に零はゆっくりと清とは逆の方に歩いて行った。

