「水希ー。入ってもいいかー?」
「誰ー?」
部屋の中からがたがたと扉に近づく音がした。
「薫だよ、朝早くに悪いな。ちょっと頼みたいことが…」
ガチャっと扉が開くとまだ着替えていないのかほこりにまみれた水希が出てきた。
「どうかし…え?」
水希は俺の手首の血のついたハンカチを見て目を大きく開けた。
「ちょっと、怪我しちゃって。」
水希は無言で俺の肘をつかんで部屋に入れてくれた。
水希は俺を椅子に座らして自分も椅子を目の前において座った。
「…」
無言になちゃったよ…どうしよー…
水希は手首のハンカチをとり、両手を手首包むようにあて目を閉じた。
痛みが消えていく。
新たに包帯で傷口を保護していく。
「ありがとう。やっぱお前は凄いな!」
水希の頭をなでなでとなでると水希はじっと俺の目を見ている。
「で。何故こうなったかぐらい教えてよね。妖魔との戦闘で手首だけ傷だらけなんて可笑しいし」
「え、っと。そのー…誘拐されそうになって、手首の手錠を無理やり取ろうと鎖の部分を壁にガンガンぶつけていたら輪っかの部分が食い込んで、さ。こうなった。」
「誘拐?」
「道化のやつらだよ。なんで俺を狙うかは不明。俺、水希みたいに凄い力持ってるわけでもないし!」
「そうだね…なんで薫なんだろう…」
「零に報告入れるにもあいつまだ戻ってこないから一応先に皆には言っとこうと思って」
「そっか」
「じゃあ、ありがとうな。」
椅子から立ち上がって水希に言う。
「いいえー」
水希は拳を胸にあて誇らしげに言った。
「やっぱ最後に質問…いいか?」

