午後の講義を受け終わり、寮に戻ろうとしていたとき。

今日は闘技場で訓練したときに忘れ物をしたのを思い出し、再び学校に向けて歩く。

「薫?どうかした?」

「あ、清先輩。忘れ物を取りに戻ってきました。」

途中で清先輩に出会い、立ち話などしていると、廊下をバタバタを先生達が私たちの横を走り去って行く。

その光景に違和感を感じ、心がざわざわと騒ぎ立てた。

「何かあったのかな?」

清先輩も違和感を感じたようで私たちはそのまま先生の後を追っていくと、学校の外で先生たちと兵士団の人が話をしていた。

「どういうことですか!」

「落ち着け。今、我々で懸命に捜索中だ!」

「捜索中って…一体何があったというのですか?!」

「運が悪かったんだ!妖魔がいきなり現れて、任務に出ていた護衛の兵士も殺されたのだ!」

…なんの話?

「運が悪かったですむ話ではない!!!」


その瞬間、嫌な予感がよぎった。

「先生、どうしたのですか?」

先生は私の顔を見た時に、表情が固まり、青白く変わっていった。

「あ…薫君。君は…確かリオ君と仲が良かったな。」

「…はい。それがどうかされましたか?」

先生は何だが言いづらい様子で、唇を噛み締めていた。

「リオ・ユギンは行方不明だ。学校帰宅途中に妖魔に襲われ、護衛の兵死亡。リオ・ユギンの身体は妖魔が持ち去りない。だが現場の様子から見るとあの出血の量では…」

「兵士殿!」

先生が兵士の口を閉じる前に、私は兵士に掴みかかっていた。

「リオが襲われたとこは?!お願いです!!!!私をそこに連れて行って!!」

兵士は、黙って歩き出し、その後ろを私たちが歩いていく。





兵士に連れて行かれたとこには、血の海、死体の山だった。

引きちぎられた、四肢。

顔が強い打撲で鎧ごと凹んでいる。

先生が後ろで嗚咽している。

その声すら私には届かない。

気持ち悪い。きもちわるい?

なんで、リオがいないの?

ふとある物が目に入った。

血の海に浮かぶ、真っ赤なブレスレット。

血まみれになる前から赤いそのブレスレット。私は見覚えがある。

リオが常に身につけていたものだ。


「リ、オ。…リオ?ねぇ、リオ、隠れてないで。私だよ、薫だよ。ねぇ、リオ、帰ろうよ。リオ!ねぇ冗談やめてよ!リオ!リオ!リオ!リオ!」

私はリオの名を呼び続けた。

でも、返答はなく。ただ周りの兵士たちの声しか聞こえない。

「リオ!リオったら!お願い、返事してよ!リオ!」

「薫!」

清先輩が私の名を呼ぶ。

「ねぇ、リオいるんでしょ?変な冗談やめてよ!リオ!お願い、リオ!早く返事して!リオ!」

「薫!やめろ!」

そういって今度は私の体を包み込む。