「薫、さっきから元気がないけれど大丈夫?」
水希は不思議そうに俺を見るが、清は何も言わずに薫たちの前を歩く。
「体調悪いの?」
水希に心配かけて俺は何をしてるんだ。
「なんでもないよ。心配かけてごめんね!」
「そうなの?ならよかった!」
水希はにっこり笑って清に並ぶ。
あれは過去のこと。私は変わった。
私は、変わるんだ。
だから…心配をかけてはいけない。
「無理すんな。」
清の言葉はまるで俺の心を読んでいるようだった。
あまりのことに唖然とするが、嬉しくて清に笑いかける。
こいつはいつも俺のことわかってくれる。
一回も目を合わせてはくれなかったが。
水希は清の隣に追いつき清に振り返ると不思議なものを見るような表情をした。
「清?なんか…」
そこまで言って清は水希の頭に手をおく。
「えへへ!わかった!」
どうやら今の動作で清と水希の間に何かが約束されたようだ。
男同士の約束ってやつか。
そうこうしているうちに校門に到着をした。
目の前の扉から学長らしき老人が現れ会釈をしてくる。
俺たちも早足に学長のもとへ行く。
「3人ともよく来てくれましたね。今日は1日よろしくお願いします。」
「ええ、学長。こちらこそ、よろしくお願いします。久遠清、そして霜崎水希、古都薫です」
「さぁ、闘技場に行きましょう。ご案内します。」
学長は扉をあけて先に進む。
重い足をあげて校舎に向かう。