空気が一気に冷えきった。

「凜兄様は騎士だった。だけどロキ=ロレッタに加担した。兄様のせいでたくさんの人が亡くなってしまった…っ!」

そんな空気を破るかのように水希は声を出す。

「水希、少し落ち着け」

「…薫は、僕達兄弟を軽蔑する?」

水希は下を向いて俺の表情を見ようとはしなかった。
きっと今までこの話をしてきた人には拒絶されたんだろうな。

俺は立ち上がり水希の背後に回った。

「薫?」

俺は水希の首に腕を回して頭に顎を乗せた。

「大丈夫。反逆者はお前や零じゃないだろ。それだけで俺は仲間を裏切りたくない。皆もそう思うよ。」

「ありがとう、薫」

水希はそっと俺の腕に手を置いた。その手が震えていた。


「水希、1人で抱え込むな。いつでも話しを聞くから」

「ありがとう…話しはそれだけ。付き合ってくれてありがとう。おやすみ」

「あぁ。おやすみ」

そう言って部屋を出た。

「偽善者」

廊下に腕を組む零がいた。

「零…」

「くっくっく。嘘だよ、励ましてくれてありがとう。俺じゃあいつを元気つけれないから」

「どういたしまして。でも冗談きつい」

「悪かったよ。…でも凜がした罪は、必ず俺が償うから水希には敵意を向けないでくれ。」

そう真っ直ぐな目で訴えてきたが、答えなんて最初から決まっている。

「…聞いてたんだから分かるだろ?俺は零や水希を責めることはない。反逆者はお前達じゃなくて、凜だから」

「…そっか。」

「じゃ、おやすみ」

俺は零の横を通り自室に戻る。
いきなりのカミングアウトに神経が疲れたのか、ベッドに直ぐさま潜りこむと俺はそのまま意識が無くなった。