「神父様、そろそろ包帯を変えましょう」

「エデン、やってくれますか?」

「はい!」


エデン…?
聞き覚えはない…
支部のものだろうか?

腕を触られる感覚を頼りに左手で手らしきものに触れた。


「神父様!意識が戻られたようです!」

「本当ですか?!」


目をあけると俺は緑の髪の男の手を握っていた。
左には神父らしき人が立っていた。

「御気分はどうですか?」

にっこりと男の人は笑った。

俺は握っていた手をすぐさま離し起き上がった。
緑の髪など出張任務以来見てないため気付いたらまじまじと男と神父の瞳を交互に見ていた。


なんでシン族が目の前に?俺は確かコルディアで死にかけていたはずなのに...
俺以外にもコルディアで生活している人間がいたのか?

「...大丈夫、です」

なんと声をかけていいのか分からず言葉にならない声で答えた。


「御気分はよろしいようで」

神父様がそう横から答えた。

「ここは…どこでしょうか?」

「フォンの小さな教会です。貴方様はこの教会の目の前で倒れていました。それをこの子が見つけて手当をしたのです。」


神父様はそういってエデンの頭に手を置いた。


___シン帝國?!何故だ?俺はどうやって教会の前まできたのだろうか…


「エデンと申します。」

いきなりエデンが声を出したので少し驚いた。

俺は落ち着きを取り戻してからエデンと神父様に向き直った。

「私は薫と申します。エデンさん、神父様危険なところありがとうございました。」

お辞儀をすると神父様とエデンはにっこり笑った。

「それにしても驚きました。エデンが走ってきたかと思うと女の人が血まみれで倒れているというものですから。」

「驚かせて申し訳ありません。妖魔に襲われたものですので...」

「妖魔に?!よくご無事で!」

エデンと神父様がお互いに驚いた表情をする。

「よくあることです。私は騎士ですから。」

「...騎士?黒の騎士団...?」

神父もエデンも黙って俺を見ていた。

黒の騎士団は、コルディア、ベルリク、ミラの三ヶ國が協定を結び出来た妖魔退治のプロフェッショナルだ。

その中にシン族である、俺が騎士団に入団するなど、創立以来ないことだろう。

そして、シン族がコルディア人に化けて生活をするなど不可能に近いから...

シン族は一般人に妖力がない。妖力があるのは神の使いである神子様のみ。
だけど、俺は神子様ではない。

「信じることは出来ないかもしれませんが、私はコルディア人のフリをして生活をしています。」

「なぜ...そのような危険なことを...もしばれたら殺されてしまいます!!!」

「危険は承知です。でも私はどうしても、妖魔を倒す仕事がしたかった。だから例えこの身が処刑されようとも私は騎士になりたかった。」

そういったとき微かにエデンは顔をゆがめた。

「薫様は、神子様であらせられますか?」