病院について早5時間。2人はまだ起き上がらない。

水希達が発見されたのは薫たちがつく1日前のことだった。


他の騎士は交代で見舞いと休憩をしながら仕事に出ている。

今は薫とマリアの2人が休憩時間のため病室のロビーでゆっくりと飲み物を飲んでいる。

マリアは珈琲を一缶飲みきると、ソファーから立ち上がった。

「私、行くね。2人をよろしく。」

「もう少し休めばー…って行っちゃったよ」

薫の意見を聞きもせず、マリアは頬をぺちぺちと叩きながら病院から出ていった。

目元には深い隈ができている。彼女自身はいつも通りに振舞っているようだが、表情も暗くなっていた。


寝ようとするが寝付けないのだろう。


入団期間が短い薫は皆んなをどう励ましていいのか分からず、ただ心を痛めるばかりだった。


「…病室に戻るか」

飲み干した缶を空き缶箱に捨てて病室に向けて足を進める。

病室の前まで行くと少しドアが開いていることに気がついた。


さっき…閉めたよな?



気味が悪くなって、早足にドアの前まで行くとちらりと手らしきものが出ていた。


「え、…何だ?!」


勢いよく扉を開けるとそこには水希が倒れていた。

動揺でしばらく手を水希の肩や自分の頭にあてたりと忙しなく動かした。

「え?!水希!おい、水希!しっかりしろ!」

我に戻り、体を持ち上げると水希はうっすらと目を開けた。


「薫?大丈夫だよ。意識はあるんだけど…力が入らなくて」

水希は手を握ろうとしているのか手の指が震えていた。

「今、医師を呼ぶから。」

体の小さな薫でも軽々と水希をベッドに寝かせつけることができた。まだ幼い水希と皇紀が襲われたことに悲しみを抱きながら近くの呼び出しボタンを押した。

「水希が起きた!早くきてくれ!」


「今、行きます!」


コールに呼びかけると看護師が返事を返した。



「おかしいんだ…。身体が動かないんだ」

「…お前は2日も寝込んでいたんだ。力も入らなくなるさ。心配しなくても大丈夫だ。」