あれから2日経った。

途中兵士が侵入したときより多くうろついているが、顔は見られてなかったようで、俺の横を通っても兵士は何も反応もしなかった。

夜は森の木の上で野宿。食糧は訪れる村で果物を買って食いつなぐ。

かなりの数を回ったが、どの神宮でも薫のことを知ってる人はいなかった。




「何処にいんだよ…」



〜♪


「なっ…バイオリン?」

バイオリンの音?こんな夜中に?
薫と沙羅の任務に確かバイオリンを弾く少年の話があった…

行ってみる価値はありそうだ。

木の上から降りて、音がなる方角へとそっと歩く。

ゆっくりと歩いて行くと、月明かりが入る場所へとたどり着いた。

そこには1人の青年がバイオリンを弾いていた。


黒い髪色。黒い瞳。右目には眼帯。そして左腕の赤黒くなった包帯。

この姿は…シーイング兄弟の写真の少年と似ていた。

頭の包帯が眼帯に変わってはいるが。


もしかしてこの青年は…


そう思っていると、演奏は終わり、周りは静かになる。


青年は立ち上がり真っ直ぐ俺のほうに向いて歩いてきて茂みを手でかき分けて俺の顔を覗き込む。


「…」

ただ無言に彼は俺を見ているだけだった。

「なぁ」
「偽者」


俺の声と彼の声は重なる。

彼は憎悪の感情で俺に向かって偽者と言った。

ば…れた?


「偽者?なんのこと?」

「道に迷ったの?」

こいつ…俺のこと…

偽者って…

「迷う…?」

青年はバイオリンを大切に置くと、こちらに振り向く。


「お前は…だれ?」

青年は感情もなく、少し首を掲げた後に口を開いた。

「シシャ」