馬を走らせ國境まできたときにはすでに日は落ち、辺りに殺気が渦巻いていた。

妖魔の気が辺りにありすぎて、感覚が麻痺を始めているようだ。

「さて…どうやったら國の中へとはいれるだろうか。」


城下町に入るためには、高い城壁が待っている。コルディアのように門が常に空いているわけではない。

「得策ではないが、不法侵入するか。」

門兵を襲うために城門へと馬を走らせる。

フードを深く被り、顔を見られないように気をつけながら、一応髪色と瞳を変える。

城門近くで馬から降りる。
ここからは徒歩だ。

草木をよけながら進むと、いくつかの城門のうちの1つを見つける。

そこには2人の門兵が立って見張っていた。

コルディアの兵とは雰囲気が違った。
ぴりぴりとした空気を漂わせる。
緑色の目が闇に光る。
初めてシン族を見るが、一瞬足が竦んでしまった。


「そう簡単には、気絶してくれなさそうだな。」

じっと様子を見ていると、門兵はそわそわと何かを気にしているように周りを見ている。

最初は俺がいることに気づいて探しているのかと思いひやひやとしたが、どうやらそういうわけではなさそうだった。

1人の門兵が合図をすると森の中にへと入って行く。

俺はそっと近くで様子を伺うが、門兵は剣をとりそのまま駆け出していく。

そのとき初めて気づいた。

自分の息が乱れていることを。


妖魔が気配を消して近くにいたのだ。

俺はそれに気づかず、門兵を狙っていたというわけか。

騎士として恥ずかしい失態だった。
命があることにほっと安堵し、さらに1人となった門兵を襲うのも今しかチャンスはない。

息を整えると、剣を抜き、思いっきり駆け出していく。

門兵が声を出すよりも先に。
体を動かせ。

「何奴?!」

門兵の正面から突進する形になり、鎧の上から剣の柄の部分で突き刺す。

門兵は口から唾液を吐き出しながら大きく壁にぶつかり失神する。

「悪い」

門兵の持っている鍵を抜き取り門の横の門兵の行き来する扉から入り再び施錠する。

そしてすぐに城下町へと走り出す。

もう1人の門兵が戻ってくる前に、人の多いところへ。

侵入者とばれないように逃げる。