「シンは始まりの神によって治められていて、始まりの神のおかげで、シンは平和で緑豊かの國となった。昔は神子様もわしたちと同じように村に出て過ごされていたんだけどねぇ…他国の人間が森を焼き払ったり、神子様を攫ったりするからこの國では神子様を守るために森へと匿ったんじゃ。わしらが子供の時は神子様と遊んだりしてたんだけどねぇ…今じゃお会いすることなど出来なくなってしまった。」

「攫う…?なんで攫われちゃったの?他の國にも神子様はいるんでしょ?」

「坊や。この國の神子様はある程度の歳まで成長すると年を取らなくなるのじゃ。その姿を見て他國の者がその力を奪おうとしたんじゃ。」

「…どれだけの数の神子様が攫われたの?」

「…ざっと30人かねぇ。そして全員殺された。神子様を守れなかったわしたちには天罰がきて妖魔も随分増えたものじゃ。神子様を匿ったあとも2人の神子様が攫われてしまっての…どんどん妖魔が増えてしまった…」

「あの…その中にりんって人いませんか?」

「りん?」

「はい…」

「うーん…神子様のお名前はわからないねぇ」

「そうですよね…」

「坊やも立派な大人になったら神子様をどうか守っておくれ。」

老婆は悲しげに僕に言葉をかける。

「…わかった。おばあちゃんお話有難う!僕頑張って神子様を守れるようになるね。それに…そろそろお兄ちゃんが来る頃だから僕は行くね!」

「おや。そうなのかい。気をつけて行くんだよ」

「うん!」

老婆に礼を言った後家を出た。

先ほどの話を聞く限りでは、攫われたシンの神子は全員殺された。
じゃぁ…兄様はシンの神子ではなかったということ?
どういうこと?

周りはすっかりと陽が落ちて真っ暗となっていた。

清からの無線をとり指示通り歩いて行くと彼は町外れのところで酷い顔をして立ちすくんでいた。

「清…」

恐る恐る声をかけると清は僕の姿を見つけて軽く手を挙げた。

「無事でよかった」

「うん…まぁ…なんとか生きてるよ」

「ごめん…薫を連れ戻せなかった」

どちらとも声を発することなく。

しばらくは、鳥のさえずりと虫の鳴き声が響き渡るだけだった。