とりあえず、街の様子を伺う。

シンは土地がよく肥え、水も綺麗な國なために農産物が商品棚にずらりと並ぶ。

どれも綺麗な色合いでみずみずしく美味しそうだった。

農産物だけではなく酪農なども盛んで、ミラでは貴重なチーズや牛乳などといったものがたくさん並んでいる。

「そこのお母さん!うちのチーズ買っておくれ!美味しいよ!」

店の男は女性に声をかけたりして、上手く商売をしている。

お店の中に入って買うコルディアではあまり見られない光景だな。

「お、兄ちゃんもどうだい?」

店の男は俺にチーズを向ける。


「今は遠慮する。それより少し聞きたいことがあるのですが。」

「お?なんだい?」

「薫って名前の女の子を探しているんだ。知らないか?」

「んー。俺はずっとここに住んでるけど、そんな名前の子はこの街にはいねぇーなぁ」


「そうですか…有難う御座いました」

すぐ見つかるとは思っていなかったけれど、知らないと言われてしまうと…やっぱり辛い。


今度は、買い物中の女性に声をかけた。

「あらまぁ、何かしら?」

優しげに微笑む女性は俺を見る。

「この辺りに薫という名の女の子は住んでいませんか?」


「んー…ごめんなさい。知らないわ。」

そう言って女性は俺の横を通り過ぎて行く。


「そんな簡単には見つからないか。さて…仕事もしないとな」



人通りがなくなったところまで街を抜け、無線機に電源を入れる。

「水希。水希聞こえるか?」

「聞こえるよ。その声は清?」

「よかった。今何処にいるんだ?」

「僕はシン國のゴーフェンって街にいるよ。」

「そうか。ゴーフェンって街は北の街だよな?俺は今日シンに入ったところだ。」

「なんで清もシン國に?」

「指令だ。水希と合流しろってよ。だからその街に俺が行くから合流するまで動くなよ」

「…わかった。」

納得いかないと言いたげな声で水希は了承する。

「また近くになったら連絡入れる。」

「うん。わかった。気をつけてね」


無線機を切り、北の方角へと体を向ける。

方角も決まった。

水希と凛の事を追っていればきっと薫に繋がることがわかるかもしれないし、取り戻すことも出来るかもしれない…この任務はアリアの気遣いかもしれないな。





さて、行こう。