「さてと…本題に入ってもよろしいでしょうか?王。」


もう2本目になるワインのコルクを外しながら王は話せと言った。


…この人酔わないのかな?

そう零以外の2人と側近たちは頭で考えながらも王の飲みっぷりを黙ってみていた。

「1ヶ月前から少し妖魔の姿が増えたような気がしませんでしたか?」

「そう言われれば、妖魔は増えた。我が兵士団は他國に比べあまり強い人材は揃っておらぬ。近頃は怪我人も多いと兵士団からは聞くが、水希と皇紀のおかげでそのようなこともあまりなくなったようだ。」

「やはり、こちらにも影響がありましたか…。実は1ヶ月前ぐらいにロキ=ロレッタが何者かの協力を得て脱走致しました。」


王様は深いため息をするとワイングラスをおいて足を組み替えた。


「1ヶ月も前?ふざけるのはやめよ。」


「いえ…本当の事です」


「…消息は?」


「全國に騎士を配置しておりますが、消息は未だに掴めておりません。」


「全くコルディアの兵士は不甲斐ない。」

「私も思いました」

「それで?我にどうしろと姫君はいっておった?」

「ただ状況を理解して頂くことと、出来れば、國民には何も言わないようにとおっしゃっていました。王女様は混乱は避けたいと思っていますから」

「…そうか。姫君には我のやりたいようにやると伝えよ。我も一國の王ゆえ、守るものが大きい。理解を求む。」


「そうおっしゃると私も王女様も覚悟はしていました。」


「そうか。それにしてもコルディアの姫君は行動が遅い。」

王は再びワインを口に含んだ。

すぐに王は静かな息をはきながら、天井を見上げた。

「そうか…。時は再び戦乱の世…。」


「悲しきことです」


零は今までしっかりと王様を見ていたが、この時ばかりは伏し目がちになった。

「事情は理解致した。こちらも出来ることならば力を貸そう。…そう伝えてもらえるか?」

「御意。ではこれにて私達は下がらせてもらいます。」

「土産、感謝する。次も期待しておるからな。」

王はまたにやりと笑って3人を見送った。