「そうですよ、先輩」

お兄ちゃんが雫模様の頭に拳銃を押さえつけて僕達の近くにきた。

「先輩、大人しく水希を離してください」

「リン!」

「俺の弟を返してください。そうすれば凛を返します」

「…」

「決断を早く」

「わかった。」

そういうスタンさんは僕を離そうとはしなかった。

「早く」

お兄ちゃんの口調が変わった。

「…」

ゆっくりと僕を放すと一歩ずつスタンさんは離れていった。

「水希、こっちにおいで」

僕はおにいちゃんの背中へと回る。

「零、お前も離せよ」

スタンさんがお兄ちゃんに睨みつけている。

雫模様は手をつかまれぐったりと首を垂れている。
よく見ると腹部に穴が開いていて血が流れていた。

お兄ちゃんはこの人を凛って呼んだ…
顔も声も全てを忘れていた存在…
あれが僕の兄様__?
本当に?

「凜、ばいばい」

お兄ちゃんは兄様の名前を出して引き金をゆっくりと引いた。


バンッ___


「ああああっ」

地面の中から妖魔が現れてお兄ちゃんの足に食らい付いていた。

銃弾は空中へと放たれて兄様はすばやくお兄ちゃんの腕を払いスタンさんの元に走った。

兄様は意識があったんだ__あんなに血を流しているのに!

フヴィッチ大臣が妖魔に切りかかるとお兄ちゃんの足から離れてスタンさんと兄様の近くに行く。

「り、ん…はははっ!覚えているよ。その妖魔はお前の大事な大事な使い魔だったな!!!」

「スタン!リオ!!」

兄様がそう叫ぶと地面に手をたたきつけた。