「誰?そこにいるのは」

相手に尋ねた。

相手はちょっとずつ近寄ってきた。

一歩、一歩…もうすぐ目の前に。

月明かりが森を照らすと、そこには黒いローブをきた人間がいた。

「道化か?」

皇紀がいち早く気づき銃器を両手に構えた。

相手はローブのフードを掴みゆっくりと後ろに持ってく。

それは一週間前に消息がなくなっていた薫だった。

でも髪は茶色からすっかりと黄緑になっていた。

皇紀は初めてみるシン族に目を見開いている。
手の銃器は構えをやめて腕をおろした。

「薫?薫なの?!」

一歩前に出た。

「水希!」

皇紀ははっとして僕の名前を呼んだ。
薫はいつもと雰囲気が違って何もせずただじっと僕たちを睨みつけていた。

「様子がおかしい」

皇紀はごくりと喉唾を飲み込む。

「…どうして何もいってくれないの?」

「…」

「薫は敵じゃないんだよね?」

「…」

「薫は無理やり道化に攫われたんだよね?」

「そうだな…」

薫はにやりと笑って答えた。
やっぱり、薫は敵じゃないんだ…

「皆心配したんだよっ!コルディアでは薫が指名手配になってて…でも!誤解だもんね?今度は僕たちも一緒に抗議するから!あ、薫がシン族でも僕は差別しないよ!!騎士の皆だってそうだよ!」

そう一気に喋ると薫は睨むのをやめて今度はいつものにっこりとした表情になった。
やっぱり、薫は僕たちが疑っていると思ってたんだ。

「…ありがとうな」

「さ、一緒に帰ろう!」

「弟ぉ、もういいかなぁ?」

ふと後ろを見るとリスカさんがぺろりと唇をなめた。
そして背中に背負っていた剣を抜くとそれを構えた。

「ちょっと!何してんの!!」

皇紀はリスカと薫の前に立ちふさがる。

「ねぇ、囚人。なんでここにいるのぉ?」

「ははっ!俺の後釜か?ってことは、お前は黒だな?」

薫はにやりと笑ってリスカに挑発的にいう。

薫からは殺気が漂ってきた。

「アハハ!君のことを黒って言うんだよ?」

その挑発にリスカさんは挑発のように言う。