「兵士団からきました。アリア=バレットです。本日からよろしくお願い致します。」

周りの目は、冷ややかなものだった。

他所者____そう言っているようだった。


「騎士団にようこそ。俺たちも元々兵士団だった身だけども、今はこうして騎士だ。何か困ったことあったら遠慮なく言ってくれ。」

兵士団の時には恐れ多く話すことすらできなかったキトス=シーイング兵と今私は話している。

私はそのときガチガチに体が固まってしまっている。

「…緊張してるね。おーい、零!アリアの面倒頼む」

「え?俺ですか?」

私を遠目で見ていた彼が私の前までくると、笑った。

「よろしくお願いします」

彼の笑い顔はくしゃっとしてて可愛かった。

「霜崎零です。わからなかったら俺にも聞いてください。」

零はそれからというもの、何かと私の面倒を見てくれた。

他の騎士は私を避けるにも関わらず、彼は分け隔てなく私の訓練の相手にもなってくれた。



自然と私が彼のことを特別に見るようになった。


「零さん」

「…そろそろさん付け辞めろよ。アリアさん硬い」

「…貴方も私のことさん付けよ」

「そっちから先にさん付けだったからな」

そんなことを言う彼はいつもとは違って、寂しそうに私に笑う。

「どうかしたの?」

彼の隣に座る。

「…なんでもない」

そう言うが、彼の表情は晴れることはない。

「嘘。絶対何かあったわ」

「全く…なんでそういうの気付くかな」

彼は、手で顔を覆う。

泣いてはいないけれども、顔を上げようとはしなかった。

「…好きな人に婚約者が出来た」

顔を上げると、苦しそうに笑う。

その姿に思わず、私は彼を抱きしめる。

「私は…零のことが好き」

彼は大きくため息をつく。

「ごめん。」

彼はそういった。


全ての時が止まったのではないかと思うぐらいだった。

「…私が、愛してあげる。零が、その人を思う以上に。もっともっと…私が愛してあげる」

「…ごめん」

「ごめんなんて言わないで。私は零が好きなの。…私じゃだめなの?」

「…」

「零が私のことを好きになってくれるまで頑張るから…私は貴方のことを諦めたくない…!」

「そんなこと…アリアが傷つくだけだ」

「傷ついても…肩書きだけでも!貴方の特別になりたいっ!」

零はそっと私の腕から抜け出すと、私の目を見る。

「自分を大切にしたら?俺の特別になったら傷つくよ」

「それでも、零のそばにいたいの」

「俺は、きっとアリアを傷つける。酷いことたくさんするよ」

「…零のそばに居られるのであれば、私はどんなに傷ついても貴方のそばから離れないわ。」


「後悔するぞ」

「後悔なんてしないわ」

そこまで言うと、彼は私を引き寄せる。
彼と私はそのまま、キスをする。



甘い、甘いキス______





私の大好きな彼





貴方が他の人を好きでも、私は貴方のことを諦められない…





だから、私はずっとずっと貴方のそばにいるよ。




貴方の好きな人への気持ちが消えて…

私のことを思ってくれる時をずっと待っているから…



だから。何処かに行かないでね。